厚生労働省の調査によると、大学を卒業した新卒者のうち入社3年目まで(平成28年3月1日から平成31年3月31日まで)に離職した人の数は約14万人、離職率は32.0%にのぼるそうです(厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」より)。新卒採用を実施する企業としては、いかに離職率を下げるかも重要な課題の一つでしょう。
新卒の離職率を下げる具体的な取り組み
離職率を下げるには、まず会社を辞める原因をつかむことが大切です。新卒社員が会社を退職する主な原因として、「人間関係や職場環境のストレス」「仕事内容への不満」「転職してキャリアアップを目指す」などが挙げられます。こうした原因に、企業はどのように対処すればよいのかを見ていきましょう。
ストレスチェック制度
50人以上の従業員が在籍する企業に対して2015年に義務化された制度で、該当企業は年1回ストレスチェックを実施するよう指導されています。この制度の目的は、本人も気づいていないストレスを把握することはもちろん、社員と専門医との面談を通じて、企業側も人間関係や職場環境を把握し改善に努めることを求めています。社員のストレスの軽減や職場環境の改善につながれば、早期離職を防ぐことも期待できるでしょう。
やりがいや満足感を高める施策の実施
「やりたい仕事ができない」「責任が重すぎる」「仕事量が多い」など、仕事への不満が募ることも早期離職の一因になります。社員が抱える不満を取り除くには、上司や先輩社員が密にコミュニケーションを取り、適切に対処していくことが大切です。
たとえば、面談制度の確立。上司が部下の悩みや今後の目標などをヒアリングし、スキルや能力に応じた適切なアドバイスができる場を設けます。仕事への不満を払しょくさせるとともに、やりがいや満足感を高められるよう精細にフォローすることが重要です。また、会社の経営課題や将来の方針などを伝え、自らに目標を課せる方法も有効でしょう。自分が必要とされているという会社への帰属意識を高めるほか、仕事に対するモチベーションアップにもつながります。
社員の自律的キャリア形成の支援
新卒社員のやりがいや満足感を持続させるには、評価体制や教育制度を整え社員に明示することも重要です。キャリアパスや適性基準が不明瞭だと、伸びしろのある社員ほど将来への不安を募らせ早期離職につながりやすくなります。一人ひとりの社員に対して、今後どのようなスキルを磨けるか、それをどこで生かしどう評価するかといった将来のビジョンを一緒に考える場を設けましょう。
キャリア形成の相談窓口の設置、定期的な研修、資格取得のための補助金制度の導入、昇給などの支援もひとつです。社員自らがキャリアプランを思い描け、期待感の持てる体制を確立させましょう。
逆にいえば、不満や不安を取り除き社員満足度を高めることで定着率は高まり、企業にも利益をもたらします。企業側が社員一人ひとりに寄り添う姿勢を見せることも、早期離職を防ぐためのポイントといえます。
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