「現在就活をしている世代が、会社選びで何を重視しているのか」。新卒採用活動を実施するにあたり、企業側はその傾向を知ることが重要です。
これから就職をしようとしている世代は、Z世代(1990年代後半生まれの世代)と言われています。「インターネットでの情報収集に長けている」「オンラインでのコミュニケーションも得意」というのが主な特徴です。そんな彼らは、会社選びにおいて何を重視しているのか。若者にスポットを当ててリサーチ結果を発信する「TesTee Lab!」が実施したインターンに関するアンケート調査(※)によると、「どんな会社に勤めたいか」という質問への回答は「社風が合う」が、男女ともにトップでした。
※調査対象:就活中、就活を終えたばかりの大学3~4年生602名
この調査結果を踏まえると、採用活動において、求職者に「社風」を理解してもらうことが重要であることが分かります。しかしその一方で、「どのように自社の社風をアピールすれば良いか分からない」という人事担当者の声をよく耳にします。では、社風はどのように伝えるのが良いのでしょうか。一緒に考えてみましょう。
「社風」を感じてもらうために伝えたい4つのポイント
そもそも「社風」という言葉が何を示すかは非常に曖昧です。マイナビが20~40代のマイナビニュース会員300名に「現在勤めている会社の社風とは?」というアンケート(2016年6月23日集計)を実施したところ、その回答から社員が社風を感じるポイントは大きく以下の4つに分けられることが分かりました。
1.人間関係
2.評価や価値観
3.仕事の進め方
4.雰囲気
求人情報などで社風について発信する際も、まずはこの4点について伝えることを意識してみましょう。では、それぞれにおいて、具体的にはどのような伝え方ができるでしょうか。表現例と共に伝え方のポイントを紹介します。
1.人間関係
伝え方のポイント
「和気あいあいと」「楽しく」という感情的な表現を見かけることが多いですが、「和気あいあい」や「楽しい」などはその人の主観によるものです。同じ状況を相手も「楽しい」「和気あいあいとしている」と感じられるかはわかりませんし、どのような状況が「楽しい」のかも人によって異なります。
そこで、可能な限り「社内の人間関係がわかるような事実」を伝えるようにしましょう。また、職場やチームの年齢構成を具体的に伝えるのことも、人間関係を伝えるために効果的です。
表現例
・意見が言いやすく、ミーティングでも意見やアイデアを出し合って決めることが多い
・チームで連携して仕事を進めることが多い
・個人で進める仕事が多く、他人にもお互いあまり干渉しない
・職場は20~50代までのスタッフがいて、休憩時間にはみんなで雑談で盛り上がることもよくある
・チームは20代が4人と、30代が2人。休日にみんなで遊びにいくことも。
2.評価や価値観
伝え方のポイント
事実をベースに、「どのような人が評価をされているか」「どのような価値観が仕事上で重視されているか」を伝えます。具体的なエピソードがあると、よりわかりやすいでしょう。
表現例
・新入社員でも社長に直接意見できる
・年齢や社歴に関わらず実力主義で、成果を出せば出した分だけ評価される
・残業しても評価されず、仕事を早く終わらせて成果を出している人が評価されている
・仕事とプライベートは別。定時で仕事を切り上げて、プライベートの時間を趣味や習い事、家族との時間に費やす人も多い
3.仕事の進め方
伝え方のポイント
こちらも事実をベースに伝えるようにしましょう。「1日のスケジュール」や「具体的な仕事内容」としてモデルケースを紹介するのもよいですし、説明会などであれば若手社員に登壇してもらい、直接語ってもらうのもおすすめです。
誰にどんな確認をしながら、どんなスピード感で仕事が進められるのかなどがイメージできるように心がけてみましょう。
表現例
・若手にも幅広い仕事を任せてくれる
・過去のやり方にこだわらず、自分で効率の良い進め方を実行できる
・自分のペースで仕事を進められる
・上司が管理するスケジュールに沿って進める
4.雰囲気
伝え方のポイント
雰囲気を表現するのはなかなか難しいことですが、これも「社内ではこういうことがある」という事実を伝えるようにします。雰囲気を表すような「事実」は、社内にずっといると当たり前になってしまって気づきにくいものなので、新卒入社や中途入社してきた社員に、「社内の雰囲気でいいなと思ったこと」「他とは違うなと思ったこと」などを聞いてみるのもよいでしょう。
表現例
・ビジョンやミッション、仕事の目的など本質的なことを話し合うのが好きな人が多い
・外部とのミーティングがないときは、Gパンなどのカジュアルな服装で出社する人もいる
・有給休暇が取りやすく、取得率は80%以上
・社内行事が多く、楽しんでいる社員も多い
上記は一例ですが、このように4つのポイントでそれぞれ自社の特徴を伝えることで、求職者に社風への理解を深めてもらうことが可能です。
伝える際に注意しなければならないことは、抽象的な表現は人によって受け取り方が異なるということです。たとえば、ある人には「スピード感がないので物足りない」と感じる職場も、別の人には「余裕を持ったスケジュールで仕事を進められるので心地よい」と感じられる可能性があります。そのため、社風に関して伝える時には具体的なエピソードを添えたり、独自の制度などがあればそれを伝えるのも有効です。
たとえば、「個人の意見を尊重する職場」という紹介にとどめずに、「入社1年目から社長に意見することができる提案制度があり、実際に多くの新入社員が提案をしています。このように個人の意見を尊重する風土がある職場です」などと伝えたほうが、誤解を招きにくいでしょう。
また、文章や口頭でのプレゼンテーションによって社風をアピールするだけでなく、写真や動画、職場を直接見てもらうことで実態を理解してもらいやすくなります。選考ではぜひ直接社風を感じてもらえる機会をつくってみてはいかがでしょうか。ミスマッチのない採用を行うためにも、社風の伝え方をぜひ見直してみてください。
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