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新卒採用を始めたけれど、なかなか人が集まらない…」「内定を出しても辞退されてしまう」と、新卒採用に課題を抱える中小企業は少なくありません。
人材を採用する力を表す「採用力」は、「企業力(企業の認知度、ブランド力、社長の知名度など)」×「労働条件」×「採用活動力(コミュニケーション力)」できまりますが、このなかで「企業力」や「労働条件」を変えるのは難しいものです。
しかし、「採用活動力(コミュニケーション力)」は今すぐにでも見直しができます。採用活動でのコミュニケーションの「目線」を少し変えて、採用力アップを目指していきませんか。
「雰囲気がよかったから」で入社を決める学生は割と多い
中小企業で働く社会人10年未満の方に「この会社に入社を決めた理由」を伺うと、意外な共通点があることに気づきます。それが「対応してくれた人事担当や会社の先輩の対応が、他社と比べてとてもよかったから」ということです。
「とてもよかった」という内容を聞いても、特別なことや熱心なフォローをしているわけではありません。たとえば、
- 工場見学や会社見学の際の質問に、とても丁寧に答えてくれた。
- 同じ女性の先輩が本音で仕事の話をしてくれた。
- 説明会も単なる「説明」ではなくて、学生目線で話をしてくれた。
- 面接で学生の話を理解しようとしてくれているのを感じた。
と「学生の目線」、つまり「相手目線」でコミュニケーションをとっているだけなのです。
しかし、説明会や面接、工場見学、会社見学の際に事務的な対応をされることも多いようで、就職活動中の学生にとっては、こうした企業の対応によって「一緒に働きたい」というモチベーションが一気にあがるとか。
企業にしてみれば、事務的なつもりはなく、ただ企業として伝えなければならないことを伝え、学生の本質を見抜けるように、一生懸命真面目に面接をしているだけかもしれません。
しかし相手の立場や理解度を考えずに、一方的に言いたいことを伝えたり聞いたりする「自分目線」のコミュニケーションは、特に採用の場面では「事務的な対応」と受け止められてしまう場合もあります。
しかしだからこそ、この採用場面のコミュニケーションの「目線」を「相手目線」に変えるだけで、採用力のアップにつながるのです。
迎合するのではなく「相手目線」でコミュニケーションをとる
「かといって、学生と迎合するのもどうかと思うけれど…」
このように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「相手目線」のコミュニケーションと「迎合」は意味が違います。
「迎合」とは、自分の考えを曲げてまでも相手に気に入られるように調子を合わせることです。採用の場面では、価値観のズレを感じても学生に話を合わせ、入社してもらえるよう話を合わせていくような行動が当てはまるかもしれませんが、そんなことは学生も企業には求めていません。
それに自分の考えを曲げる「迎合」は、ミスマッチングに繋がり、入社後数年で退職…というお互いに不幸な事態にもなりかねないので、採用の場面では最も避けたい対応のひとつです。
一方、「相手目線」でコミュニケーションをとるとは、相手の立場や状況、理解度に合わせ、自分が伝える言葉を、相手がどのように受け取るのかを考えながら伝えるということです。
採用の場面でいうなら、「自社の強みやこだわり」「他社との違い」「企業として大切にしている価値観」「ここで働くやりがいや意味」などを、学生が理解できるように伝えていくことが当てはまります。
「相手目線」で、相手の理解に合わせたコミュニケーションを意識すると、相手の表情や気持ちの変化に敏感になり、それに合わせて表現や話すスピード、声の大きさ、表情、声の調子なども変わってきます。
こちら(企業)の言いたいことを伝える「自分目線のメッセージ」と異なり、相手を理解しようとする思いから始まる「相手目線のメッセージ」には、「事務的な対応」などありえなくなるのです。
採用難の時代だからこそ「相手目線」のコミュニケーションが採用力に
景気回復が続き、今年は新卒採用人数を増やす大手企業も多く、来春2018年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.78倍と昨年に引き続き売り手市場が続いています(リクルートワークス研究所)。
民間企業の求人総数を見ると、75.5万人、学生の民間就職希望者数は42.3万人。従業員300人未満の企業では、求人倍率が6.45倍と企業の採用難が続く状況となっています。
「こんな時代だから仕方ない」とあきらめる前に、こんな時代でも新卒採用を成功させるために、「相手目線」のコミュニケーションで、採用力を上げてみませんか。
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