リファラル採用はメリットもたくさんありますが、デメリットとしては、前回の記事でお伝えした通り「紹介者との関係が業務に影響する可能性がある」ということです。そう考えるとリファラル採用の成功は、採用し、定着させ、また新たな人材を再度リファラルで採用できること、という繋がりを続けていくことと言えるでしょう。成功事例が増えていくことで知見がたまり、活用の幅もレベルも上がっていくことが期待できるのです。
リファラル採用で入社した転職者が早期退職した場合、元々いた社員がその人と話す中で会社に対するマイナス点に気づいてしまい、会社に対する気持ちの変化、最悪は連鎖して退職してしまう可能性があるのです。
そこでリファラル採用を成功させるために、大切なポイントを確認しておきましょう。
リファラル採用を成功させるために押さえるべき5つの秘訣!
では、具体的にリファラル採用を成功させるために押さえておくべき秘訣についてご説明していきましょう。
1.採用手段を複数持ち、使い分けること
リファラル採用はいいことばかりのように思えるかもしれませんが、前の記事でもご説明させていただいた通り、あまりにリファラル採用ばかりに頼りすぎると社員の多様性が失われてしまう可能性も否めません。
そして何よりも社員頼み、ということは既存社員の紹介人数に採用の結果が左右されてしまい、紹介が尽きれば終わり、という外部要因によって採用活動が制限されてしまうのです。採用は、ある程度、母集団のボリュームも必要ですので、様々な採用方法と合わせて補完的な方法として考えておきましょう。
2.社員満足度を上げ続けること
リファラル採用は社員の紹介頼みですから、「自分の知り合いに紹介したい」「会社が大好きだ」と思ってもらわなくてはいけません。 転職は珍しいことではなくなりましたが、人生を左右する大きな出来事であることは変わりませんので、その後の友人関係等も考えると、紹介する方もある程度の自信がなければいけないの、業務面でも福利厚生面でも社員満足度を高いレベルで維持し続ける必要があるのです。
リファラル採用が定着している会社は社員満足度が高く、風土が良い会社とも言えるでしょう。
3.経営計画を社員に開示すること
候補者が転職を決めるかどうかの判断基準として、経営状況や将来性は非常に重要な要素です。ということは、社員が自社のことを紹介し、一緒に働くことを提案する際に、社員が自社の経営状況や中長期の経営計画についてある程度は説明できる必要があります。
リファラル採用の為だけではなく、会社全体のことが見える、経営トップの考えていることを全社員が理解しておく、ということは会社の成長にとっても欠かせないことなのです。
4.紹介しやすい環境やシステムの整備
紹介するまでに、煩雑な手続きや根回しが必要、となると一気に紹介のハードルが上がります。最低限の要件やチェック項目を満たしていれば、気軽に紹介できるような運用しやすい制度であるべきなのです。
社内のイントラネットに、リファラル採用のツールを導入することなども得策です。また、社員の善意に甘えてボランティアでお願いし続けるのではなく、リファラル採用で入社したり、定着したら(例えば入社して3年経過した)、その都度紹介した社員の評価に反映させる等、紹介し続けたいと思えるようなインセンティブも重要です。
人材は経営にとって重要な資源です。会社を支える重要な人材確保に一役買ったということは評価されるべきことなのです。
5.リファラル採用の周知徹底に努めること
これが最も重要かもしれませんが、リファラル採用成功の秘訣は「単発で終わらせないこと」です。人付き合いは、仕事で出会う人、プライベートで出会う人等、延々と続きます。ということはリファラル採用も長期にわたって社員に協力してもらい続ける必要があるのです。
日頃から忙しい社員にとって「誰かいい人いたら紹介して?」と頼むだけではなかなか動いてもらえません。動いてもらうためには、リファラル採用が自社の成長にとってどれほど有意義で必要なことであるか、ということを定期的に説明し続けることで社員のマインドシェアを維持する必要があります。
頭の片隅にいつも「リファラル採用」を留めておいてもらうことで、その時募集していない職種であったとしても「こんな人いますけどどうですか?」と気軽に紹介してもらう関係性を作ることができるのです。
リファラル採用を実例で解説!良い例の共通点はここ!
最後にリファラル採用に成功している企業の例を簡単に3つご紹介しましょう。
社員数30名のベンチャー企業A社
飲食の店舗運営やキュレーションサイトを運営するA社は社員30名中25名がリファラル採用で、元々の社員からの紹介は0です。
5人で会社を立ち上げた時は飲食店1店舗を運営する会社でしたが、その飲食店を起点として、人脈を広げ、自社のビジョンをSNS等を通じて発信し続けた結果、共感するお客さんや知り合い等から紹介を受け、創業から5年で30名を越える会社になり新聞等でも取り上げられるようになりました。
エンタメ系企業B社
エンタメ系企業B社は、業界の特性もあって人材の流動が激しい企業でした。やりたいことが明確で、専門スキルを持った社員が多く、ステップアップとして転職を繰り返す社員も多かったのです。
人材の流動が激しい業界・企業だからこそリファラルは紹介のハードルが低いのではないか、専門性スキルの高い社員が多いからこそ、会社を越えた横のつながりも強いのではないかと考えたのです。そこでまず役員クラスから初めて徐々に一般社員への浸透を高めました。
広いようで狭い業界なので業界で有名な人を1人入社させたことで、社員に広告的に「〇〇社の**さんが入社したらしい!」と一気にリファラル採用が広がりました。
トップメーカーC社
単体で2000名、グループ会社含めると3万人の規模の大手メーカーC社は、なかなかリファラルが活用できないことに悩んでいました。新卒、中途採用の担当が兼任という人員配置を見直し、リファラルの専任社員を1人付けたのです。
社内のイントラネットで専用ページを用意し、そこで常にリファラル採用の意義や進捗、時には成功事例を紹介することで徐々に社員に広がっていき、営業等専門性の低い部門から紹介してもらえるようになりました。
リファラル採用に成功している3社の共通点は「発信し続けたこと」です。
それぞれが自分達のビジョンやリファラル採用について発信し続けたことで、認知を高め共感者を増やしてリファラル採用の数を増やしていったのです。
先述しましたが、リファラル採用は人との繋がりですので、うまく活用できれば社員がいる限り続けることのできる採用手法です。目的に合った採用手法をうまく活用して、良い人材を採用してくださいね!
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